人々が求める本当のモチーフを制作者は理解してなかった。実写映画版「進撃の巨人」の評価が低い理由

評価はなぜ悪いか？

漫画「進撃の巨人」の実写映画化に対して、不安だという声がありましたがおそらく当たっていると思います。

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１・公開後の一般客の評価↓

「コミック、Blu-ray、小説…すべて揃えるほど大好きな作品です。
…ので、実写版の話を聞いた時は本当にショックで、見る予定は全くなかったのですが、息子(小6)がどうしても！というので一緒に見に行きました。

かなりハードルは下げていきました。
それでもやっぱり酷過ぎた。
時代背景の違いや、ハリウッドに比べてのCGのしょぼさはしょうがない！
キャラの見た目も、日本人が演じるんだから諦めますよ。
だけど原作と同じ名前を使うなら、キャラの中身は変えないでー！！」

私はこの漫画が大ヒットした背景は「新世紀エヴァンゲリオン」に、よく似たところがあると思っています。

こういう大ヒットの裏には、大衆の潜在意識にある不安が現れているのです。

一般的な進撃の巨人に対する大ヒットの原因として、「巨大な人間による人食い」の人類の基本的タブーの破壊みたいなものがあります。

しかし、それは表面的なものでこの漫画が大ヒットして、社会現象になったのは巨人のインパクトではないと思われます。

この漫画の大ヒットの本当の主役は、○○です。

２・○○とはなにか？

まず巨人とは、潜在意識では「人生に立ちはだかる、防ぎようがないほど大きな人生の脅威」を現わしています。

漫画「進撃の巨人」は、そういう寓話なのです。

現在の大多数の日本人の中にある「漠然とした不安」が、巨人の形をして現れたのがこの漫画です。

だからこそ、社会現象になるほどヒットしたのです。

大多数の日本人の中にある「漠然とした不安」とは、「将来に対する不安」でしょう！

それは経済が上向きになったと言うマスコミ発表が信じられない自分の現状とか、老後や年金の不安だったりします。

そういう巨人がいつか襲い来るという「漠然とした不安」が誰の心にもあります。

そういう不安はこれまで、「壁」が防いでくれていました。

ところがその「壁」が古くなって、もうボロボロではないのか？そういう思いがあります。

自分が支給年齢に達した時、おそらく年金で生活することは不可能だろうという思いがその代表です。

ですからこういう不安は、若者ほど強くなります。

立体起動装置で巨人に立ち向かう戦士たちは、そういう若者なのです。

そういう若者を指導する上司は、どこかずるがしこく、頼りなさげに思えます。

そんな不満と不安を抱えながら、若者たちは絶望的な「巨人との戦い」に挑みます。

これが「進撃の巨人」大ヒットの基本的構図だと思います。

そして私が思う、この社会的現象になった大ヒットの原因は、「壁」です。

「巨人の進撃を阻む壁」こそが、このドラマの本当のモチーフなのです。

３・現実社会の「壁」とは

現実社会で言えば、この「壁」とは「会社」であり「家庭」であり「地域社会」であり、「日本という国家」です。

これらは昭和の工業化社会では、確固とした「己が所属し己を守ってくれるもの」でした。

今、これらのものが古くなり急速に崩れています。

中国の艦艇は尖閣諸島に迫り、名門企業シャープは従業員にリストラをせまり、東芝は粉飾決算です。

シングルマザーが当たり前になり、いじめ問題では自殺者が出てから解決策が探られます。

人を殺してみたかったという動機での、殺人事件が起こっています。

家庭や学校や会社は「壁」だったのです。

私達に害をなす「不気味な巨人たち」から護ってくれていた「壁」だったのです。

しかし、今「壁」は急速に古くなりボロボロで、もはや私たちを護るものとはなりえないという思いが潜在意識にあります。

それらが投影されたのが、「進撃の巨人」の大ヒットだったのです。

ですから実写映画では、その日本人の中にある潜在意識での不安を、もっとはっきりと描く必要がありました。

映画を見終わった後「そうだ、私たちも進撃の巨人と戦う若者たちと同じなのだ」と認識したかったのです。

そういう「気づき」を映画で得たかったのです。

そういう映画の使命に気づけない製作者たちは、単なるモンスターパニック映画を作ってしまった。

この映画に期待した人たちは、そういう「気づき」を映画で得たかったのです。

「気づき」を与えてくれなかった製作者に対して、猛烈な不満を感じているのだと思います。

まとめ

漫画「進撃の巨人」の実写映画化に対して、不安だという声がありましたが

その不安の正体は単なるモンスターパニック映画になることでした。

映画を見終わった後「そうだ、私たちも進撃の巨人と戦う若者たちと同じなのだ」と認識したかったのです。

そういう「気づき」を映画で得たかったのです。

「気づき」を与えてくれなかった製作者に対して、猛烈な不満を感じているのだと思います。

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