精神工学研究所

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日本人がダメになりつつあるのは、なぜか?

   

日本人がこんなにダメになったのは、

デジタル社会になったからだという指摘があります。

それを象徴するような「事件」がありました。

ある映画がひどすぎると、酷評されています。

映画の酷評と、日本人がダメになったのは関係があるのでしょうか?

1・怪獣のあとしまつ

巨大怪獣が現れるのですが突然死んでしまい、その体の後始末に苦労するという内容の映画が「大怪獣のあとしまつ」です。

この映画はシリアスな内容を予感させて、じつはギャグのオンパレード(それも下ネタ)というものだそうです。

そしてそのギャグが滑りまくっていて、批評家からも観客からも大ブーイングが沸き起こっています。

令和の「デビルマン」だと言われています。

注:「デビルマン」は史上最低の映画だという評価があります


なぜこの映画がそこまで非難されるかと言うと、SF映画の体を装っていることが一因だと思います。

基本、SFファンと言うのは「おたく」であって、強いこだわりがあるものです。

それはSFという分野が自分の縄張りだと感じる意識から来るものですが、それを部外者に踏みにじられてような気持ちになるから怒るのです。

この映画の脚本と監督は、三木聡と言う人で、放送作家、映画監督、劇作家だと紹介されています。

この映画の中のギャグも舞台劇のような客と演者が近い空間なら、もっと受けただろうという指摘がありました。

ここがこの映画の酷評の主因だと、私は感じます。

舞台演劇と言うのは、どんなに頑張って背景や装置を造っても実物とは程遠いものです。

つまり舞台とは「偽物だけどそこは察してね」という了解の元で演じられるもので、映画とはそこが根本的に違うのです。

ハッキリ言うと、ミュージカル映画とか舞台演劇のファンの持つある種の熱狂は、そうでない人には違和感があります。

その違和感の正体は、仲間内意識だと思います。

歌舞伎もそういう「お約束」を知らずして見に行ったら、それは「素人」客になるでしょう。

劇作家上がりの監督が、映画監督を、それもSF映画を撮る時にそこが理解できない部分ではないでしょうか?

演劇はつねに「お約束」があって、演者と観客が近いのですが、SF映画にそういう部分はまったくありません。

慣れていない人にはキモチわるい?

 

2・SF映画の異常なこだわり

最初のウルトラマンは30分ドラマでありながら、1本1000万円の予算がかけられました。

円谷英二監督が特撮に異常な執念を見せて、お金をかけすぎたせいで、1000万円でも赤字だったそうです。

当時のお金で映画一本取れるぐらいの予算だったそうですが、それでも特撮部分にお金が足りなくてあの設定が産まれました。

ウルトラマンは地球上では、3分間しか活動できないのですが、それは特撮の予算が足らないからという理由なのです。

それほど当時の特撮はお金と時間と手間がかかりました。

まず脚本が出来た段階で怪獣のデザインを決めて、それが暴れる場所の建物などのミニチュアをつくる必要があります。

それを壊す手順や火薬を仕掛ける計画とか、ウルトラマンが戦う時のアクションとか、手間とお金がかかるのがミニチュアを使った撮影です。

ですから、あの当時は「大怪獣のあとしまつ」のような映画は決して造られなかったでしょう。

大予算を組んでこけたら、首が飛ぶからです。

また特撮の神様と呼ばれた円谷監督も、脚本を読んだ段階で降りると言ったことでしょう。

監督に怒られるウルトラマンとそれを見るバルタン星人

ところが21世紀になってCG全盛になったから、どんな特撮もリアルでお手軽になったのです。

その結果、舞台演劇のような手軽さで大怪獣映画が撮れるようになったのです。

舞台演劇を主戦場にしていた、SFに詳しくない監督が乗り込んできた理由はそこにあると思います。

手間暇かけてミニチュアや怪獣の着ぐるみを造って、それを馬鹿にするような映画を造られたら、特撮マンのプライドが傷つくので昔はこういう映画は出来なかったと思います。

結局、日本人がダメになったのは、CGのお手軽さのようなものが広まったからだと思います。

3・昔はよかった!

田舎だったので私が子供のころは、プラモデルさえもありませんでした。

だから大工さんの余った端材の木を、削ったり切ったり釘で打ったりして戦艦や潜水艦の模型を造って遊んでいました。

もう少し大きくなると、プラモデルが登場してそれを造って、遊んでいました。

今のようにプラモデルを飾って満足するのではなく、おもちゃを造る感じで造っていたのです。

当時は電子機器も真空管の時代で、ラジオを趣味で作る人も結構いました。

つまり当時の日本には、特撮映画のミニチュアをつくれる人みたいな子供や若者が大勢いたのです。

その時代が過ぎて、プラモデル全盛の時代になると、もはや木を削って、つまり素材から模型を造るようなことはしなくなりました。

電子機器も真空管の時代が終わり、トランジスタに、トランジスタからLSIの時代になり、動作原理もわからずに作るのが当たり前になって行きました。

そして現在は、パソコン全盛の時代でリアルに物を作るより仮想空間でモノづくりする時代になりました。

端材の木を、削ったり切ったり釘で打ったりして戦艦や潜水艦も模型を造った時は、切り傷打ち傷が絶えなかったものです。

パソコンで仮想空間でものづくりするときは安全です。

切り傷打ち傷などは無縁になっています。

飛行機の操縦を覚える時にシミュレーターで訓練しますが、あれが本当の操縦だと思うと危険なパイロットが生まれることでしょう。

それと似ています。

あるミニチュアを見たとき、それがどれほど苦労して造られたものかわからない人ばかりになっています。

怪獣映画ではそういうミニチュアが一瞬で壊され燃やされ、爆破されてしまいます。

それがどれほど苦労して造られたものかわからない人には、一本の映画を造るときにどれほど汗が流されているか、わからないのです。

そして、そういう時代を過ぎて何もかもがCGでお手軽につくれるようになってしまった結果、ちょっとした思い付きのギャグ満載の映画みたいなものが造られるようになったと感じます。

まとめ

ものづくりが日本の強みであり、手を抜かない職人仕事が日本人の誇りでありました。

しかしそんな昭和の時代は、昔話になりました。

ゲームでしか遊んだことがない世代が今は親になって、その子がゲーマー第二世代です。

そういう人たちは、手に切り傷をつくってものを造るという苦労と楽しさを知りません。

CGで造ったり3Dプリンターで造ることに比べたら、10倍100倍の手間がかかるのです。

しかし、今この瞬間に電気がなくなったとしたら、CGで造ったり3Dプリンターで造る技術は何の役にも立たなくなります。

今年になって世界が混迷の度合いを深めてきました。

サバイバルの技術を知らないと、生きていけない世界になりつつあるというと大げさでしょうか?

※水洗トイレでしかしたことのない奴は、どうするつもり?

 

特別付録

髪の毛でなやむ男性だけお読みください

 

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