大野式記憶術は場所法です。世界選手権代表者の記憶術は誰でも使えるのか？

大野式記憶術は場所法

と言う記憶術の方法を使っています。

記憶術の世界大会と言うのがあって、

記憶力スクールを展開する「記憶の学校」の主催者である大野元郎氏が、2019年12月16日、中国・廈門市で行われた「GAMA 記憶力世界選手権」に出場しました。

日本人1位の成績を記録し、アダルト3位・総合4位に入賞しました。

しかしこの方法は重大な欠陥があって、テスト勉強や受験・資格試験には使えません。

この記事であなたがわかること（目次）

1.大野式記憶術は場所法　使えない訳とは？

この部分を知らないと高価な記憶術を習っても効果がでません。

2.大野式記憶術で成功できる人とは

3.正しい記憶術とは？

私が書いています。

・長年の瞑想で自分の脳がどう動いているかわかる

・しかもリアルタイムでわかるようになった

・それを使って記憶術のウソほんとを書いている

1.大野式記憶術は場所法　使えない訳とは？

世界記憶術選手権に出場したから、その記憶術は本物だと信じ込む前に、ここだけはお読みください。

世界大会に出るというのは自動車で言うと、Ｆ１という最高峰の自動車レースのようなものです。

だからといって普通の人がＦ１マシンに乗ればサーキットで凄いタイムを叩きだせるでしょうか？

普通の人がＦ１マシンに乗っても市街地を速く駆け抜けることができるかというと、そういうことはありません。

世界記憶術選手権に出場できるほどのすごい記憶術だから、普通の人がそれを習って試験勉強に活かせるかというとそういうことはないのです。

そもそも、記憶術世界選手権というのは欧米で始まったもので、そこではランダムなトランプカードを１０分で全部記憶するような競技が行われます。

その際使われる記憶術は、場所法と言う方法で、大野元郎氏の方法もこれを使っています。

この本に記憶術世界大会のやり方が載っています

ここが重要ポイント

世界選手権ではランダムなトランプカードを１０分で全部記憶できるかが争われます。

しかし１か月先までその記憶を保持できるかどうかは、問われません。

つまり記憶術の大会では、長くても３０分記憶出来ればいいのです。

３０分だけ

ところがあなたが望むような目的、テスト勉強や受験・資格試験では最低でも３か月はそれを覚えておきたいはずです。

勉強の目的が資格の取得にあるのなら、３か月と言わず一生それを忘れたくないはずです。

資格を取ることだけが目的ではなく、資格を活用して人生を生きたいと思うなら、一生忘れない記憶にしなければなりません。

ところが記憶力選手権ではランダムなトランプカードを１０分で全部記憶しますが、それをずっと覚えておいても何の役にも立ちません。

役に立たないどころか、次の大会でも同じ競技をするのなら、以前の記憶はむしろ邪魔になります。

同じようなトランプの記憶があると、混乱を生じかねないからです。

ここから考えると、記憶術の大会では、長くても３０分記憶出来ればいいので、試合が終わるとむしろ忘れてしまった方がいいことがわかります。

ですから、テスト勉強や受験・資格試験のために記憶するのとは、本質的に違うのです。

いかにＦ１マシンが速いと言っても、それはサーキットでしか役に立たないのと同じなのです。

2.大野式記憶術で成功できる人とは

では大野式記憶術は全然役に立たないかと言うと、役に立つ人がいます。

それは「大野式記憶術」の講師をしている人です。

世界選手権で上位になれるほどの記憶術ですから、記憶術教室やセミナーでこれを披露すればみな「あっ」と驚くでしょう。

ランダムなトランプカードを数分で全部記憶するパフォーマンスを見せれば、「なんとすごいんだ」と観客に思わせることができます。

そして観客は勝手に、これを習得したら自分もテスト勉強や受験・資格試験も余裕でパスできると思いこむのです。

しかし、世界選手権で要求されるのは３０分記憶出来たらいいということは説明されません。

説明されませんが、実際に記憶術教室で授業を受けて、自分の記憶能力が上がったと思う人は大勢いるでしょう。

ところが、そういう人は、テスト勉強や受験・資格試験に意外に役に立たない記憶術の実態を後で知ることになります。

3.正しい記憶術とは？

正しい記憶術は存在しません。

科学的な記憶の方法が存在するだけです。

ここからは東京大学教授で脳科学の池谷裕二博士の理論で説明します。

記憶は脳の海馬で保持されると、一般には思われがちですがじつは違います。

記憶は脳の側頭葉で保持されていると、池谷裕二博士は言います。

それでは海馬は何をしているかと言うと、記憶の整理です。

側頭葉に入っている記憶を海馬が時々引っ張り出して、覚えておくべきか、そうでないかを判断しています。

こうやって海馬は記憶を整理していることを、池谷博士は発見しました。

海馬は記憶を整理する

そのためにどうしても必要なのは、覚えたことを時々思い返してみることです。

これが世界大会出場者の記憶術にはない部分です。

世界大会出場者の記憶術では、３０分だけ覚えていればそれでいいのです。

だから繰り返し思い出す必要はありません。

世界大会出場者ほどになると、すぐに何でも記憶できるので、その記憶がいつまでも保持できるかのような自分の記憶力に対する誤解があります。

脳科学の理論から言うと、どんなに記憶力が優れている人でも、覚えたことを時々思い返してみることなしに長期記憶に入ることはありません。

ただし、例外はあります。

ＰＴＳＤになるような強い情動を伴う記憶は、一発で記憶されます。

しかしトランプの並び順で、そんな強い感情が発生することはありません。

むしろ強い感情が発生しにくい面白くないものを、いかに記憶できるかが記憶術に求められるものです。

たしかに記憶術を使うことで、強い感情が発生しにくい面白くない情報を記憶しやすい形に変換することはできます。

しかしそこまでが記憶術の限界です。

脳科学の理論に従うなら、覚えたことを時々思い返してみることなしに長期記憶に入ることはありません。

復習こそが記憶術の王道であるという単純な真実がわかります。

まとめ

1.大野式記憶術は場所法　使えない訳とは？

記憶術世界大会は記憶術のＦ１レースのようなもの

あなたが求めるのはテスト勉強や受験・資格試験で楽できる記憶方法

2.大野式記憶術で成功できる人とは

大野式記憶術教室の講師

3.正しい記憶術とは？

長期記憶の構造

大野式に限らず記憶術の効果を考える

記憶には短期記憶と長期記憶がある

テスト勉強や受験・資格試験で覚えたいものは長期記憶に入れたい

おそらく記憶術で３０分だけ記憶できるというのは「中期記憶」みたいなものが出来ていると推測される

しかし「中期記憶」だけでは、人生に役には立たない

覚えたことを時々思い返してみることなしに長期記憶に入ることはない

復習こそが記憶術の王道であるという単純な真実

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精神工学研究所　山西　茂

筆者について

長く建設会社に勤めながら瞑想行や神秘業を、科学的に研究する。

建設会社をリストラされたのを機に、中小建設業生き残り研究会を立ち上げ、建設会社の新規事業開発やマーケティングを研究する。

しかし、中小建設業生き残り研究会のＤＶＤの売れ行きに悩み、瞑想中の啓示により変性意識開発のＤＶＤを製作・販売する。

ネット事業に活路を見出し、瞑想による願望実現のホントとウソの研究にシフトしていく。

宗教色を排した、科学的瞑想の研究を勧める。

25年以上の瞑想の結果、自分の脳がどういう機構で動いているのかをリアルタイムで観察できる技術を身に着ける

それを使って記憶術などを分析、これまでの記憶術講師が知らないことを発見した。

脳科学の研究を40年、書籍代は1237万円を超えた

四国の山中に在住、時々東京や大阪でセミナーを開催。