ノーベル賞受賞　胃がんを予防する方法で安心に

2024/10/07

2024年10月7日は

ノーベル生理学・医学賞発表の日です。

2007年オーストラリアの二人の科学者が胃がんに関する画期的な業績で、ノーベル賞を受賞しました。

バリー・マーシャルとロビン・ウォレン両博士です。

その業績とは？

1・ピロリ菌

胃がんの原因として名高いピロリ菌は、最近発見された細菌です（駄洒落みたい）。

1983年に上記の両博士により発見されました。

じつはこれは細菌学を揺るがす大発見だったのです。

どうしてかというと、胃の中の胃液には塩酸という強力な物質が含まれているので、このような環境で生きられる細菌は存在しないと思われていたからです。

ところがピロリ菌（正式にはヘリコバクター・ピロリ）は、そのような環境で生きてるとわかってびっくりでした。

ヘリコバクター・ピロリはウレアーゼと呼ばれる酵素を産生しており、この酵素で胃粘液中の尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解し、

生じたアンモニアで、局所的に胃酸を中和することによって生きていられるのです。

アンモニアとは窒素と水素が結合したガスで、水に溶けるとアンモニア水というアルカリ性の液体になります。

アルカリで塩酸の酸を中和していたのです。

ところがアンモニアが困った問題で、窒素を含む化合物の多くは反応性が強いのです。

反応性が強いということは胃壁を荒らす性質につながり、胃炎や胃潰瘍の原因物質になってしまいます。

さらには胃壁の細胞のDNAを傷つけると、癌細胞の発生につながります。

つまりピロリ菌の胃酸の中で生き延びることができる性質そのものが、胃がんの原因になってしまうという困った存在です。

バリー・マーシャルとロビン・ウォレン

2・胃がんにならない方法

YouTubeに「胃がんにならない方法」の解説動画がありました。

それによると、胃がんの原因は

1.喫煙

2.肥満

3.ストレス

4.塩分の過剰摂取

5.ピロリ菌

だということです。

ピロリ菌の除去だけで17％リスクを軽減できると言っています。

だから動画作成者の医師は病院で診察してもらって、一週間抗生物質を飲めばピロリ菌をやっつけることができるので必ずやりましょうと勧めています。

しかしこれ、本当でしょうか？

癌にならないために

3・不都合な真実

じつはピロリ菌は弱い菌で、胃の中から出ると死滅してしまいます。

なぜかというと、胃の中で棲むことに特化した細菌だからです。

ほとんどのピロリ菌は哺乳類の胃の中にだけ棲んでいて、他の動物に移る場合はほぼ経口感染です。

つまりピロリ菌を持つ動物や人の便が、飲料水に入ってそれを飲むことで感染します。

ですから水道が完備されてない時期に幼少期を送った現在50代から60代以上の人にはピロリ菌がいる可能性が高いです。

その反対に水道が完備された時代に母親になった人の子供には、ピロリ菌はとても少ないとされています。

すなわち現在において水道はほぼ完備されているので、ピロリ菌保有者は減少の一途です。

だから50歳以上の人は胃がん防止のために、ピロリ菌除去を勧める医師がいます。

再度言いますが

現在において水道はほぼ完備されているので、ピロリ菌保有者は減少の一途です。

しかし、ピロリ菌保有者がどんどん減少しているのに「胃がん患者は増加していた」という現実があるのです。

大阪がん循環器予防センターHPより

「日本人の胃がんは減っていると言われます。確かに統計でみると胃がん死亡率は減少しています。しかし、胃がんになる人の数（り患数）は、人口高齢化の影響で非常に増えています。つまり胃がんになる人は増加しているが、完治する人が多いため、死亡する人はあまり増加していません。日本人の胃がんは減っていると言われるのは、日本における胃がん早期発見・早期治療の進歩が著しい証拠と考えられます。」

胃がんがすべてピロリ菌悪者説にするには、不都合な真実です。

医師の中にはピロリ菌除去を勧めない人もいます。

その理由はピロリ菌除去に使われる抗生物質が腸内の良い菌も死滅させるからということです。