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なぜ「スカイライン2000GT」は売れなくなってしまったのか?

   

青いスカイライン

20世紀の日本は次々とヒット商品を創って、世界をリードしていました。

ソニーが創ったウオークマンは世界中で愛された商品です。

そういう流れで見ると、iPhoneは日本でこそ産まれるべきアイテムだったと感じます。

日本にはもう、かつてのような商品創造力がないのでしょうか?

昔の商品はどうしてあれほどヒットしたのでしょうか?

その裏には「人間の本能」があったのです。

本能が欲望を動かしていたのです。

日産自動車が販売していた青いスカイライン。

通称、「ケンとメリーのスカイライン」スカイライン2000GTは爆発的に売れました。

「ケンとメリーのスカイライン」を例に、日本が失った商品開発力を説明します。

1・ケンメリ

1972年9月に発売された4代目スカイラインは「ケンメリ」と呼ばれて一世を風靡、歴代でもっとも売れたモデルです。

なぜ「ケンとメリー」と呼ばれるのかというと、ケンとメリーという架空のカップルのデートカーという設定だったからです。

そしてこのテレビCMがバカ受けして、「ケンメリ」は先代スカイラインの二倍も売れまた。

ケンメリのライバルが、トヨタのセリカでしたが、私の印象ではデートカーとしてスカイラインが勝っていたように思います。

その後、1987年に3代目プレリュード(ホンダ)がデートカーの王者の地位を獲得しました。

あの頃は、テレビドラマ『東京ラブストーリー』の時代で、織田裕二さんと鈴木保奈美さんのオシャレなカップルがうけた時代にぴったりのデートカーでした。

こういうヒット商品を生み出す力を日本は失ってしまったのでしょうか?

今の日本で、「ケンとメリーのスカイライン」『東京ラブストーリー』のプレリュード、そしてウオークマンのような商品を売りだして果たしてヒットするでしょうか?

おそらく売れないでしょう。

今のヒット商品は、トヨタのアルファード/ベルファイアだったり、iPhoneなのです。

プレリュード

2・デートカーじゃない!

今の売れている自動車は、トヨタのアルファード/ベルファイアですが、これはヤンキーカップルがゴールインして子供が出来たとき

無理して買うようなタイプであって、デートカーという需要は低いと思われます。

若者が買うには自動車が高くなりすぎて、都会の若者はそもそも自動車に関心がないとも言われます。

『東京ラブストーリー』の時代には、クルマがないとモテないと言われたものですが、どうしてこんなことになったのでしょうか?

谷本理恵子は女性向けマーケティングの専門家で、彼女が描いた本が「プリンセス・マーケティング」です。

この本の「プリンセス」という言葉の中に、すべての答えがあります。

谷本によると、すべての女性は「プリンセス」なのです。

たとえ橋の下で拾われた女の子であっても、すべての女性は「プリンセス」なのです。

つまり、女性は「自分はたまたまこういう境遇に生まれたけれど、本当はお姫様なのだ」というぼんやりとした心の構えを持っています。

女の子は「かぐや姫」であり、だからある日王子様が助けに来てくれるという「シンデレラ・ストーリー」を信じるのです。

谷本理恵子は女性向けマーケティングですから、女性向け商品はこの流れに沿ったものでないと売れないと言います。

そして男は王子様を演じないといけません。

そのためのアイテムが、「ケンとメリーのスカイライン」『東京ラブストーリー』のプレリュードだったのです。

21世紀になって、この流れが変わってしまったとすると、もはやデートカーの時代が来ることはないでしょう。

では21世紀になって登場したのはなんでしょうか?

3・インターネット

答えは聞くまでもなく明らかで、21世紀になって爆発的にヒットした最大のものはインターネットです。

そしてこれをスマートフォンがさらに大きく変えました。

ネットが出来てしばらくして「腐女子」という言葉が生まれます。

「腐女子」とはネット依存で引きこもりがちの、いやらし系のネットサーフィンばかりする若い女性という意味です。

「腐女子」とは女性版オタクというと、イメージが湧きやすいかも知れません。

さて、「ドラゴン・タトゥーの女」という2012年の映画があります。

この映画にはリスベット・サランデルという天才女性ハッカーが登場します(彼女がドラゴン・タトゥーの女)。

「ドラゴン・タトゥーの女」が大ヒットしたので、リスベット・サランデルを主人公にした映画が創られました。

その映画の中で「ドラゴン・タトゥーの女」では単なるハッカーだったのですが、新しい映画ではスーパーヒーローのように描かれます。

例えばリスベットが悪者に追われて逃げる時、駐車場で車をハッキングして乗ろうとします。

その時ふと目にとまったランボルギーニ・アベンタドールをみて気が変わります。

彼女はランボルギーニで逃走するのです。

しかし現実では、いかに天才ハッカーであっても、ふと目にとまった車をその場でハッキングして盗むことは不可能です。

このような描写があるところを見ると、大衆はインターネットに魔法を求めているのではないかと感じます。

インターネットを使うなら、金でも女でもイケメンでもゲットできる、そういう魔法の世界だと感じられるのです。

インターネットが魔法であるなら、スマホは魔法の世界に連れて行ってくれる「どこでもドア」です。

そして女たちは「シンデレラ・ストーリー」を信じるかぐや姫だったのですが、もしかしたら男無しで魔法の世界に行けるかもしれないと気付きます。

昔の女性は王子様が助けに来てくれるのをひたすら待つ境遇でしたが、男無しで魔法の世界に行けるかもしれない可能性が拓けたのです。

リアル世界では女性は男性の暴力に敵わないので、そこが大きなネックでした。

しかしネット世界は知性が勝てば、男も女も関係ありません。

おとぎ話のかぐや姫は、求婚に来た男たちに無理難題を言って手玉に取ります。

それは結婚する気がないからです。

ネット世界であるなら、女たちは本来のかぐや姫に戻れそうな予感がしているのではないでしょうか?


まとめ

「ケンとメリーのスカイライン」はいい男がさっそうと現れて自分を素晴らしい世界に連れて行ってくれる、それを感じさせる車でした。

男たちも「ケンとメリーのスカイライン」を所有するだけで、王子様になったかのように誤解させる車だったのです。

買うだけで王子様になれるのですからお手軽です。

しかしそういう幻想がぶち壊されて、恋愛ゲームに疲れテレビゲームの方がいいと思う人も大勢います。

そういうしょぼくれた王子様より、自分で魔法の世界に行った方がどれほどいいだろうと女たちが思っても不思議ではありません。

だからiPhoneが世界中で売れるヒット商品になったのでしょう。

日本は、このような女の気持ちの変化に気がつかないと、かつてのようなヒットを飛ばすことはできないでしょう。

※シンデレラをやめてかぐや姫に目覚めた女たち

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

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