昔、SF映画はこうやって造られていた
2025/01/06
科学技術ネタです。
私はウルトラマンの世代なので、映画の合成技術に関することが好きです。
ちなみに、当時の仮面ライダーには合成がほとんどなかったのでウルトラマンほど好きではありませんでした。
当時の映画フィルムによる合成技術を紹介します。
1.ブルーバック
当時の合成技術はブルーバック合成と呼ばれました、
なぜブルーバックと呼ばれるかというと、アメリカのコダック社が青い光だけに感光する白黒フィルムを発明したことが合成の始まりだからです。
現在のCG合成にもこれと同じ撮影方法があって、CG合成ではグリーンのバックで撮影することが多いです。
デジタル技術ですから、今はどんな色のバックでも合成が行えます。
さてブルーバック合成のやり方を説明します。
例として「怪獣の背景で驚く人」を合成して造るとします。
まずミニチュアセットの中で暴れる怪獣を撮影します。これは置いといて・・・
その次に、「驚く演技をする人」をブルーバックの前で撮影します。
これを現像すると、背景が真っ青で人間だけが写っているフィルムができます。
そのフィルムに先ほどの「青い光だけに感光する白黒フィルム」をピッタリくっつけます。
もちろん、フィルムは光で感光するので暗室で行います。
ピッタリくっつけた二枚のフイルムにブルーバックで写したフィルムの方から適度の光を当てて感光させます。
これを現像すると青い光だけに感光するので、青い部分が真っ黒で人間部分は透明なフィルムができます。
このフィルムに普通の白黒フイルムをピッタリくっつけて、写したフィルムの方から適度の光を当てて感光させます。
これを現像すると、先ほどの「青い部分が真っ黒で人間部分は透明なフィルム」と正反対の白黒フィルムができます。
つまりこれは青い部分が透明で人間の部分だけが真っ黒なフィルムになります。
こうやって、「逃げる演技をする人」のフィルムのオス型とメス型を造るのです。
お判りでしょうか?
2・合成
1.青い部分が真っ黒で人間部分は透明なフィルムと背景が真っ青で人間だけが写っているフィルムをピッタリくっつけます。
これにさらに生の感光していないフィルムをピッタリくっつけて、適度の光を当てて感光させます。
2.怪獣の写っているフィルムと、青い部分が透明で人間の部分だけが真っ黒なフィルムをピッタリくっつけます。
これに1.で露光させたフィルムをピッタリくっつけて露光するのです。
こうすると、怪獣が暴れている映像の前を、人が驚いている合成画像ができます。
これがブルーバック合成です。
しかしこの方法は、欠点があります。
フィルムには厚さがありますので、その部分から人間の背後に映っている青色部分が漏れてしまうのです。
そのためにこの合成を行うと、合成された人間やものの縁に青い色がついてしまいます。
この青い色のせいで、合成だとすぐにばれてしまいます。
しかし当時はこの合成でもすごいお金がかかっていて、見るとわくわくしたものです。
人間やものの縁に青い色がつく
3・スターウォーズの冒険
合成された映像の周りに青いちらちらがでることに、当時のハリウッドの技術者は不満だったようでこれをなくす努力が続けられました。
その解決策として、青い光を使う代わりに赤外線にだけ感光するフイルムが開発されそれによる合成が行われたりしました。
この方法は青いちらちらが出ない画期的なものでしたが、高価なのであまり映画で使われませんでした。
さてスターウォーズでは合成が多用されましたが、ほとんどのがミニチュアの宇宙船の合成ばかりでした。
そこでブルーバックを使わない合成技術が開発されました。
その方法はコンピューターで宇宙船やカメラをモータードライブで移動させる機械を使いました。
こうするとコンピューターが同じ動作を何回も正確に行うことができます。
ですから黒い宇宙をバックに宇宙船の移動を撮影したら、今度は背景を星にして宇宙船に光を当てずシルエットだけにして撮影するのです。
これを現像すれば、フィルムのオス型とメス型を造る必要がありません。
スターウォーズの第一作はこれを使って撮影されています。
これは開発者の名前を取って、ダイクストラ・フレックスカメラと呼ばれています。
それから20年の時が流れて、コンピューターのデジタル合成技術が誕生しました。
デジタル合成を使えば、どんなに複雑な合成も簡単に、しかも安く精密に行えるようになりました。
しかし私は青いちらちらが出る合成画像を見る方が興奮するのでした。
ダイクストラ・フレックス使用シーン
まとめ
ゴジラやウルトラマンが造られていた時代、どんなに大変な思いで映像が造られていたかを知ると驚きます。
そしてデジタル合成技術の発達で、こういうものがどんどん消えていっています。
デジタル合成を使えば、どんなに複雑な合成も簡単に、しかも安く精密に行えるようになりましたが、
安易に使えるようになったせいで大味になってしまった気がしています。
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