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第二回たつき諒「私が見た未来」を信じる前にこれだけは読んでください

      2022/04/16

たつき諒という女性漫画家が

自分が見た予知夢が的中したと評判になっています。

彼女は「大災害は2011年3月」と正確に東日本大震災を予言したとされ、一部では熱狂的なファンがいるようです。

2022年4月9日の新聞の一面に、たつき諒「私が見た未来」の復刻版発売の広告が載っていました。

ご本人の証言によると、たつき諒氏は自分の観た夢を記録していて、それを漫画の題材にしていたそうです。

その中から生まれたのが、「私が見た未来」という作品だそうです。

しかし「私が見た未来」の復刻版にはとんでもないことが書いてあります。]

とんでもないこととは、いったいなんでしょうか?

1・予言の正体

もともとホラー漫画や恋愛ものを描いていた彼女が評判になったのは、「私が見た未来」の表紙の絵によるものです。

そこには「大災害は2011年3月」と記載があったのですが、これが最初に発行されたのは1999年だそうです。

その後、2011年3月に東北関東大震災が起きて、この表紙がクローズアップされました。

そのころには、たつき諒氏は引退しており、この漫画も廃刊になっていたので中古本で10万円以上の値段がついていた時期がありました。

そこで二匹目のドジョウを狙う出版社が、この漫画を再発行しました。

その時のキャッチフレーズは、「2021年7月富士山大噴火」でした。

ノストラダムスの大予言と同じで、この予知夢の話も「どうとでも取れるようなこと」を、こうに違いないと解釈することで「予言」に仕立て上げる手法が使われています。

しかし、ご存知のように「2021年7月富士山大噴火」は起こりませんでした。

そこで『私が見た未来 完全版』では富士山大噴火は予知していないことにして、新たな大災害を予知することにしています。

2・本当の災害とは何か?

完全版の広告をネット上に見つけましたので、引用します。

【打ち合わせのため初めて担当者と面会することになった。その日の朝、ある夢を見たという。

それは1999年の時と同じ、映画館のスクリーンのような光景。

そこに映し出されたのは「大災害は2025年7月」。さらにこの夢には続きがあった。

空の上から見た世界。突然、日本とフィリピンの中間あたりの海底が破裂。

イメージのものだった。

彼女はこのイメージを昨年再版した「私が見た未来 完全版」に描き加えた。

話題作りや不安を感じさせるためではないという。

震災後に自分のマンガが話題になっていると知った時、震災前により多くの人の目にとまっていれば助かった命があったかもしれないという思いが芽生えたという。

彼女自身、これを予言だとは思っていない。何も起きないことが一番いいと思っている。】

「海底が破裂する」という場所

3・「予言」の真実はおそらくこれ

真実は飛鳥新社のはかりごとでしょう。

飛鳥新社は、『私が見た未来 完全版』の出版社です。

有名になったたつき諒「私が見た未来」の再販の時は「富士山大噴火」と煽り、それが外れると今度は「2025年7月」で人々を怯えさせる手口です。

最初私が聞いた話では、フィリピン付近にある海底火山が大爆発して、そのとき起きる津波が日本に大災害をもたらすというものでした。

しかし海底火山では大津波は起きません。

地球物理学的に間違っています。

津波を発生させるのは地震であって、海底火山ではありません。

海底火山が及ぼす影響は、それが火口の大きさとするとせいぜい直径100メートルぐらいです。

しかし海底地震の場合は、断層のズレが何十キロメートルにも及びます。

火山と地震ではエネルギー量がまるで違うのです。

ですから海底火山の爆発では、日本に大災害を及ぼすような大津波は発生しません。

「日本とフィリピンの中間あたりの海底が破裂」というのは、どうとでも取れる言い方ですが、こんな巨大な海底火山は存在しません。

それでは地殻変動なのかということですが、地震のメカニズムは現在はプレートテクトニクス理論で説明されています。

そして地球物理学では「フィリピン海プレート」というのが確認されています。

南北方向の動きはない

ところがプレートテクトニクス理論では、東西にプレートが動くような力が働いていることになりますから、『私が見た未来 完全版』のようなことは起きません。

香港や台湾、フィリピンまでもが大陸と地続きになるということは、南北方向の動きだからです。

しかも「フィリピン海プレート」が原因で大地殻変動が起きたとしても、香港はそれとまったく関係ない場所にあります。

「フィリピン海プレート」と香港の位置はまったく違う

だからこの記述は、プレートテクトニクス理論では起きない現象だと言えるでしょう。

1973年に刊行された小松左京による日本のSF小説が「日本沈没」です。

これは日本付近で大規模な地殻変動が起きる結果、日本列島が引き裂かれて海底に沈んでしまうという設定です。

小松左京氏はこの小説を書くに際し、錚々たる地震学者に監修をしてもらったそうです。

その結果、「沈没」になったのです。

プレートテクトニクス理論的に起きうる現象を考えると、海底に沈む設定にしかなりません。

映画で沈没した日本列島

ところが『私が見た未来 完全版』では、《香港や台湾、フィリピンまでもが大陸と地続きになる》と言っています。

これは沈没ではなく、隆起です。

プレートテクトニクス理論では隆起は起きず、沈没( 沈降)が起きるでしょう(もし起きたらの話です)。

つまり『私が見た未来 完全版』の記述は、科学的におかしなことばかりなのです。

「海底が破裂する」と予言された場所

夢で見た地点はフィリピン海プレートの中心あたりですが、地殻変動はプレート境界で起きます。

だからこの図には科学的根拠がありません。

夢で見た内容だから、科学的におかしいのは当たり前ですが、科学的におかしいこととは言わずに恐怖を煽るのは売れればいいという出版社の姿勢なのでしょう。

ヒマラヤ山脈は海底が隆起して出来た地形ですが、出来上がるまでに5000万年という途方もない時間がかかっています。

『私が見た未来 完全版』のように一瞬で香港や台湾、フィリピンまでもが大陸と地続きになるようなことは起きません。

地面が破裂して一瞬で地続きになるというのは、あり得ない事なのです。

1.「2021年7月富士山大噴火」は起こらなかった

2.そこで「大災害は2025年7月」とした

3.大災害は海底火山の爆発、もしくは大規模な「海底が破裂」するというもの

4.その結果香港や台湾、フィリピンの海が隆起することになった

このような説明は科学的に全く根拠がありません。

同じ予知にしても科学的に起こりそうなことを言うのであればいいのですが、出版社の儲け主義で適当なことを言っているとしか思えません。

そしてその説明文に「彼女自身、これを予言だとは思っていない。」というような逃げを打っています。

確信犯なのです。

全国の新聞で一斉広告

まとめ

たつき諒「私が見た未来」が本当に未来予知をしたものであるなら、どうして世界的パンデミックである新型コロナ肺炎の流行を予知できなかったのでしょうか?

ロシアによるウクライナ侵攻を予言できなかったのでしょうか?

昔から未来予知をしたという人やその人が書いた文書がありますが、地震の記述などは比較的多いのです。

なぜかというと、適当な場所を言ってもだいたいそのあたりで起きたなら「当たった」と言い張ることができるからです。

それに対し、世界的パンデミックである新型コロナ肺炎の流行は、2019年12月から中国武漢で始まったことがハッキリわかるのでごまかしようがありません。

『私が見た未来 完全版』は「ノストラダムスの大予言」と同じで出版社が儲けてやろうと企んだものとしか思えません。

こういうものを各新聞社や、フジテレビの番組「アンビリーバブル」で宣伝することは、読者・視聴者に対する背信行為です。

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