自動車不正問題 一番あくどいのはどこか?
2024/06/06
毎日新聞の記事より
「自動車の大量生産に必要な「型式指定」の認証を巡り、ダイハツや豊田自動織機で不正が相次いだことから、国交省は自動車メーカーと装置メーカーの計85社に調査と報告を求めてきた。
国交省によると、5月末時点で68社が調査を終了し、残る17社は調査を継続している。
トヨタは、現在生産している3車種で歩行者保護試験の虚偽データを提出していたという。
また、過去に生産していた4車種で、衝突試験で使う試験車両で不正加工を行っていた」
そうでありながら、生産された自動車には問題ないということですが、これっておかしいと思いませんか?
そのからくりを説明します。
トヨタ自動車豊田章男会長
1・トヨタ会長の会見
「トヨタ自動車の豊田章男会長は3日の記者会見で「日野自動車やダイハツ自動車、豊田自動織機に続き、グループ内で問題が発生していること、責任者として、お客さまや車ファン、全てのステークホルダーにおわび申し上げる」と陳謝した。
不正行為があったのは7車種。
このうち生産中の「カローラフィールダー」「カローラアクシオ」「ヤリスクロス」の3車種では、歩行者・乗員保護試験でデータの不備があった。
国内で生産中のこの3車種については、3日から出荷・販売を停止した。
国交省の指導のもとで「速やかに立ち会い試験などの適切な対応を進めていく」としている。
生産を終了した「クラウン」「アイシス」「シエンタ」「RX」の4車種では、衝突試験などで試験方法に誤りがあった。豊田会長は「認証制度の根底を揺るがすものであり、自動車メーカーとして絶対にやってはいけないことだ」と述べた。
不正のあった7車種は社内で検証した結果、いずれも性能に問題はなく、使用を控える必要はないという」
2・スズキ自動車の場合
『スズキは、国交省からの型式指定申請における不正行為の有無に係る実態調査指示を受け、調査結果を同省に報告。
その結果、過去(2014年)の不正事案が1件発覚したことを、6月3日に発表した。
内容としては、2014年9月のアルト(貨物仕様/ABS無)の型式申請の際に提出した「トラック及びバスの制動装置の試験成績」において、フェード試験の停止距離を、実際の試験で測定した停止距離より短く記載していたというものだ。
※ブレーキをくり返しかけてブレーキが高温となった状態での停止距離を測定する試験
なお、5月18日に法規認証部門の立ち合いのもと、当該試験をやり直した結果、フェード試験の法規要件を十分に満たすことを確認。
また、2014年以降のすべての開発機種の試験結果と成績書を照合し確認した結果、同様な不正があったのは当該アルト貨物仕様のみであるとのことだ』
ここから想像できるのは、国交省の型式認定における検査が「厳しすぎる」ということです。
実際の運用では問題ない性能を持つ自動車でも、ギリギリでしか通過できない試験基準になっているということでしょう。
だからヤバイ数字がでたら、ちょっとだけ改ざんしていたということだと思われます。
そしてそれは、国交省の検査員も知っていたことだと私は思います。
3・私の経験から
私は以前小さな建設会社に勤めていたのですが、仕事の受注先に四国電力がありました。
そして電力会社には水力発電所があり、水力発電所にはダムがあります。
ダムは当時の建設省に所管であり、発電は当時の通産省の所管でした。
建設省や通産省は3年おきぐらいにそれらの検査に訪れるのですが、現場の四国電力所員の緊張ぶりは観ていてそれが伝わってくるほどでした。
落ち度がないように隅々まで掃除をするので、その業務で建設会社は仕事にありつけるというわけです。
そして建設省や通産省は、重箱の隅をつつくような検査を行って帰っていくのでした。
この経験からいうと、自動車産業においても長年建設省や通産省の検査があるのだと思います。
※注 建設省は現在では国交省になっています
そしてそれは不必要な、時代遅れの項目がいくつも残っていると思われます。
さらにいうと、そういう時代遅れの項目がいくつも残っていることは建設省や通産省の職員も知っているのだと思います。
だから知っていて知らぬふりをしてきたのが、今回の不正騒動の本質ではないかと思います。
お役人はいったん手にした権限をなかなか手放そうとしない習性を持っていますが、それは産業の正常な発展をむしろ阻害するのです。
謝罪させるのが大好きな役人根性
まとめ
そもそも今回の国交省の検査も、実際は各自動車メーカーが自社工場で行って、その結果を報告するスタイルです。
これがおかしいのです。
大学の入試で、自宅で答案用紙を解いていいですよ、というのと同じです。
国交省の検査というなら、国交省自身がそういう検査ができる施設と職員を持つのが本筋です。
それを各自動車メーカーが自社工場で行うというのですから、はなから不正を見抜く気がないということです。
再度言いますが、お役人の習性は産業の正常な発展を阻害することの方が多いです。
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