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五輪体操女子 宮田笙子選手喫煙でやめさせられた件

   

2024年7月19日、日本体操協会は

 

緊急会見を開き、パリ五輪の女子代表選手である宮田笙子(順天堂大)が代表辞退に至ったと発表しました。

「宮田に対して協会と順天堂大が事情聴取を実施。その結果、喫煙に加えてナショナルトレーニングセンターのアスリートビレッジでの飲酒行為も確認された。

経緯を説明した西村賢二専務理事によると、「6月末~7月までの間に(喫煙と飲酒は)それぞれ一度と本人が説明している」という」

 

 

1・悪いのは誰か?

 

パリオリンピックの一週間前に発表された辞退騒動に、世間ではかわいそうとか、出場させろという意見も出ています。

この件に関して言うと、悪いのはスポーツ庁だと思います。

日本人は伝統的に「大岡裁き」が好きです。

南町奉行所の大岡越前のもとに難題が来ました。

ひとりの子供に対し、二人の女が自分が母親だと名乗り出たのです。

そこで一計を案じた越前守、「二人で子を引っ張りあいせよ」と命じました。

ふたりの女は幼い子供を両方から引っ張りましたが、一方が手を離しました。

子供の泣く様子に耐え切れなくなって手を離した方が本当の母親だと、大岡越前は裁いたのでした。

江戸の町はこの名さばきに称賛を惜しみませんでした。

ということですが、これが「日本の伝統」です。

日本は厳格な法律を作り、それを緩い運用するのが伝統で、そのあいまいさの部分が名さばきの裁量がでる理由です。

今回の喫煙騒動も、大岡越前張りの名さばきが出たなら世間は拍手喝采したことでしょう。

 

 

2・「大岡裁き」はもう古い

 

今回の喫煙によるオリンピック辞退騒動の本質的解決は、(本来なら)こういうことが起きた時にどういう判断をするかということが厳格にルール化されているべきだったのです。

そしてそのルールの明確な運用により、オリンピック出場続行か停止かを判断すべきでした。

そういう運用をするならば、たとえ若い宮田選手が傷つくような結果になっても誰も文句は言えないでしょう。

若い選手がこういう不祥事を起こすことは予想できたはずで、その際の明確なルールを作っていなかったのは、明らかにスポーツ庁および同長官が「無能」だったからです。

そもそもスポーツ界と言っても各競技団体別にルールはバラバラです。

各競技団体がそれぞれお山の大将であって、仲良く同じルールを作ろうという雰囲気などありません。

その原因は各競技団体の長が、その競技のかつてのスーパースターが就任しているからです。

これはスポーツの世界では「当たり前」と思われているかも知れませんが、極めて異常です。

国の機構で考えると、行政の長がルールも決めて、その運用も恣意的に行っている状態です。

三権分立ではなく、独裁体制です。

そもそもスポーツ庁長官が水泳の鈴木大地、その後釜が室伏広治というように、かつてのスーパースターなのです。

こういうありさまでは、各スポーツ団体を横断的なルール造りなどはできないと考えた方がいいと思います。

だから今回の喫煙騒動が起きたのだと私は思います。

 

 

3・いびつなスポーツの世界

 

清廉潔白なスポーツマンの世界だと思わせたいこの業界ですが、実態は全く違います。

以前プロ野球界で泣く子も黙る存在だったのが、読売巨人軍です。

常勝巨人軍には逆らえるものがいませんでした。

そういう状態の中で江川卓の入団時に起きたスキャンダルが「空白の一日」事件です。

あれはルールの不備を突いた巨人軍の卑怯な作戦だったのですが、それをおかしいと言えなかったのは、スポーツの世界とはそういうものだったからです。

スポーツの世界では、強いものが偉いものなのです。

卑怯者でも、強ければ拍手喝采なのです。

 

そういう事情があるので、

各競技団体のトップには有名政治家が名を連ねています。

なぜなら競技団体は政治家の力で補助金を引っ張ってこれますし、政治家はその団体に属する選手の票が見込めるという構図があるからです。

そしてそういう力比べを各競技団体が行う構造ゆえに、普遍的なルールを作ろうなどと音頭を取るものは現れません。

そもそもスポーツの世界で名を成した者は、「俺が、私が」という根性の持ち主です。

だから「みんな仲良く、ここは私が退いて」というような譲り合いをするような人たちではなく、我田引水の世界です。

それゆえ、スポーツ界全体のことを考えて、などというのは机上の空論に過ぎません。

こんな具合ですので、「民主的」という世界から程遠いのがスポーツの世界の住人です。

そういうまとまりのない奴らを束ねるのが、「俺が、私が」という根性の持ち主だったスポーツマンでは務まるわけがありません。

 

選手のケアをしないスポーツ庁

 

まとめ

 

宮田笙子選手にとって不幸だったのは、選手のメンタルケアや問題が起きた時のバックアップが不備だったことでしょう。

今回彼女の在籍する順天堂大がその役割を果たしていたようですが、五輪出場選手になった時にスポーツ庁がその役割を一元的に引き受ける態勢が必要だったのではないでしょうか?

しかし、先に述べたようにスポーツの世界は「俺が、私が」というような根性の持ち主ばかりです。

もしスポーツ庁が選手の面倒はこれからはウチがやると言ったなら、順天堂大は「はいそうですか」と言わなかったと想像します。

スポーツの世界は「俺が、私が」の、縄張り争いの世界です。

そのような連中を束ねるのがスポーツ庁の役割ですが、長官が役不足だったのではないかと感じます。

 

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