人生を失敗して引きこもる理由とは??
2020/12/16
全国に100万人以上
「ひきこもり」の人たちは、全国に100万人以上いると推計されています。
実はその半数以上にあたる約61万人が中高年(40~64歳)であることが、昨年内閣府が行った初の調査結果で明らかになったばかりです。
この人たちが大変な問題になっているのです!
ひきこもった末に命を落とす「ひきこもり死」が全国で相次ぐ
命の危険が迫っているにもかかわらず、残された子がひきこもりを続けるのはなぜなのか
この問題に出口はあるのか
その理由とは?
重い話題ですので
その前に笑い話でなごんでください。
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車の中で、新米刑事とベテラン刑事が会話していました。
「先輩、くだらないクイズっす」
「おう!」
「東京はなにけん」
「昔、聴いたことがある。しゅとけん」
「さすがっす。スカイツリーのてっぺんはなにけん?」
「くだらん。きけん」
「正解。ではスカイツリーのてっぺんで掃除する人は?」
「え?なに。それは知らんな」」
「せいそうけん」
「あはは、面白いけど成層圏って、スカイツリー高すぎだろ」
今日も事件は起きなかった。
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講師は自分を「老師」と呼ばせたがった。
風貌も白髭で長髪の仙人風だったから、そう呼ぶにやぶさかではない。
—
老師「今日の話は人生を失敗して引きこもる理由じゃ」
「私の同級生にも中学校から引きこもりになって、いまだに引きこもっているやつがいます」
「そういう人たちがどんどん増加しているのが、今の時代なのじゃ」
「なぜでしょうか?」
「まず、これを読むがいい」
老師は弟子に、新聞の記事のコピーを手渡した。
『取材班は、あるひきこもり男性の死に直面した。
神奈川県横須賀市に暮らす56歳の男性は、10年前に両親が死亡した後、自宅に一人取り残され、貯蓄を切り崩しながら暮らしていた。
ガスや水道は止まり、家屋の外壁は朝顔のつるで覆い隠され、庭先はゴミであふれていた。
市の福祉職員は支援の必要性を感じ、訪問を続けていた。56歳男性はこう話していたという。
「いざという時にお金がないと困るので、なるべく使わないようにしている」
やがて男性は、職員が訪問しても顔を出さなくなった。職員が警察と一緒に踏みこんだところ、男性はゴミに埋もれた状況で亡くなっていた。
栄養失調による衰弱死。12月初旬、冷えこみの厳しい日のことだった。
中略
幼少時代を知る近隣住民。中学、高校時代の同級生、塾講師。そして職場の同僚ら。
数十人の証言を得るなかで浮かび上がってきたのは、「(男性は)まじめだった」という言葉だった。
高校卒業後、英語を使った仕事に就きたいと英文科を目指して大学受験に取り組んだ。しかし、成績は思うように上がらなかった。
やがて進学を諦め、ハローワークで仕事を探し始める。非正規で複数の職場を渡り歩いたのち、診療所の医療事務で正規採用される。
喜んだのもつかの間、厳しい現実に直面する。
経営拡大路線を進める職場の業務は多岐にわたり、覚えなければならないことも多く、Aさんは深夜まで残業する日々を送っていた。
当時の上司はこう言っている。
「まじめな性格のあまり、できないことをできないと言えない人だった」
結局、Aさんは職場を去る。その後、再就職に苦戦。心のバランスを崩し、30年以上にわたりひきこもることになっていくのだった。
この間、何を考えていたのか。部屋から見つかった遺品に目を凝らしていくと、本人はこの生活から抜け出したいと願っていたことがわかった。
ノートには、英文法を勉強していた証拠が残されていた。痕跡は亡くなる直前まで続いている。
あるページには「ハローワーク」「申し込み締め切り」などの文字が残されていた。
最期まで、仕事を見つけたいという意思を持っていたことがうかがえた。しかし、それがかなうことはなかった。
ノートの最後のページには、こう書き残されている。
「人生とはこうも、悲しいものなのか」』
「はあーーー」ため息が出た。
******
「よいか!この新聞記事の中に彼が引きこもりになった理由がある」
「それは「(男性は)まじめだった」という言葉でしょうか?」
「うむ、それもある。しかし最も大きいのは「世間の常識」が間違っているということじゃ!」
「「常識」が間違っている?」
「知りたいか?」
「はい、ぜひ」
「世間では「夢」を持つことが無条件にいいことであるかのように言われている。しかしどうじゃ?
この男性は、英語を使った仕事に就きたいという「夢」を持ったがために、こういう結末になったと言えるのじゃ」
「んーー!それはそうかも知れませんが・・」
「よく聞け!なぜ世間では「夢」を持つことが無条件にいいことであるかのように言われるかというと、スポーツの世界でそういうことが多いからじゃ」
「確かにそうですね」
「そしてスポーツの世界は残酷であるがゆえに、適正でもある」
「残酷で適正?」
「例えば短距離の100m競争じゃ。お前がもし100mを10秒台前半で走ることができるなら、オリンピック選手を夢見ても不思議ではないじゃろう」
「確かにそうですね」
「田舎に足の速いと言われる中学生がいたとして、先生に夢を持てと言われて、オリンピック選手をめざしたとしよう」
「はい」
「しかし足が速いと言われても、100mを13秒台であるなら県大会止まりじゃろう」
「そんな感じすですね」
「100mを12秒台であるなら県大会とか、11秒台で全国大会出場とか、だいたいの結果は予想できる。
オリンピック選手は実現しない夢だということが、残酷なまでに明らかじゃ」
「そういう結果を目にすれば、誰の目にもできるかできないかは、明らかですね」
「そうじゃ。それを拡大解釈して「夢を持て」などという言葉を気軽に使いおる」
「多いですね」
「ところがこれが結果が目に見えにくいものであるなら、いつまでもそれにしがみつくということがあるのじゃ」
「ああ!売れない演歌歌手がドサ周りの一生を終えるみたいなものとか・・」
「そうじゃ。「英語を使った仕事に就きたいと英文科を目指して大学受験に取り組むこと」はすぎた夢ではないのか?それはわかりにくいのじゃ」
「100mを13秒台であるなら県大会止まりとか、すぐにわかりますが英語の実力はわかりにくいですからね」
「それはもしかしたら、魚に空を飛べというようなものかも知れん」
「だから「夢」を持つことを無条件に良いことだというのはまちがいなのですね」
「そうじゃ。魚に空を飛べというのが無理だと言ったら「トビウオがいる」みたいな屁理屈をこねることもできる。
100mを13秒台であるなら県大会止まりとかわかるなら、そういう屁理屈は通らないだろう」
「はい」
「さらにじゃ。真面目とか粘り強いというような一見良いことのように思われる性質も、使いようでは悪くなるのじゃ」
***
「このような問題はじつは古くからあったのじゃ。
中島敦という作家が書いた山月記の中に勇気の無い詩人の話がある。山月記が今でも支持を得ているのは、世の中には夢にしがみつきたい人が多いことを物語っているのじゃ」
「詩人が虎になる話ですね」
「そうじゃ。そしてそれは勇気の問題なのじゃ」
「勇気ですか?」
「自分の中の可能性を信じて、大きな「夢」を語る勇気。
そして、自分の限界を知って、「夢」をあきらめる勇気じゃ」
「この新聞記事の最後のところ」
ノートの最後のページには、こう書き残されている。
「人生とはこうも、悲しいものなのか」』
「はあーーー」ため息が出た。
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